介護老人保健施設へ転職した20年目看護師の実際

病院で18年看護師。その後、老健へ転職。

正直なめてましたよ。

施設看護師なんて病院に比べたらたいした事ないだろう…と。楽勝だろう…と。

結構、たいした事あるやん。解剖生理から勉強しなおしたわ。

2.3年目の看護師が行くような心電図研修にも参加して、勉強しなおしたわ。

面白いやん。

老健へ転職して思った事 Best3

1位：看護師としての判断機会が多く、今までの経験値をフル動員できる。

2位：夜勤中は自分以外に判断する者がいない。病院時代以上に勉強するようになった。

3位：給料はそんなに変わらない。やっぱり病院よりは減るけど。

判断機会が多く、今までの経験値をフル動員できる

• 入院患者よりは病状は安定しているが、複数の疾患を持つ高齢者ばかりな為、当然ながら急変はある。
• 病状悪化時に病院と違い検査が出来ない。判断材料が少ない中、観察眼とカルテ内の限られた情報だけで推論しなければならない。これは経験がものをいう。救急搬送時は救急隊員にも説明しないといけないしな。情報の取捨選択が大事。
• 夜勤は当然医師不在。看護師は自分ひとり。全ての判断が自分の能力にかかっている。
• 介護職への指示出しも的確でなければならない。誰に何を指示するか。介護職員の能力や経験値も踏まえて、コミュニケーションエラーがない様に言葉も選ぶ。これも経験が必要だな。
• 多職種に頼る。看護師だけで解決しようとしない。多職種の領域を理解したうえで頼る。意外と看護師だけで先走る事はある。短期的な視点しかない看護師も多い。長期的に考えたら初めから多職種で関わる方が利用者だけでなく看護師にとっても得になる。

病院時代より勉強するようになった

• 夜勤は看護師1人の為、相談者がいない。
• 急変時に出来る検査といえば心電図12誘導ぐらい。意外に心電図が読めない看護師は多い。私も基本は分かるが得意ではない。その為、勉強しなおした。
• バイタルサインや反射関係、SOFAなどの評価スコア関係も再学習。もう基本に立ち返り、参考書買って再学習しましたよ。『出直し看護塾』もほぼ全部見ましたよ。だって夜勤帯は医師がいないんだもん。
• 自分の知識が時代遅れではないかを入念にチェック。
• 看護技術や知識だけでなく他職種の領域も把握。
• 感染症発生時の施設の対応、ゾーニング、PPE、他部署への指示、保健所との連携など。大まかな方針は医師が指示してくれるが、フロアのゾーニング、他部署との連携、介護職への指導や現場の状況確認などはフロア看護師がメイン。
• 看護師と介護職では当然理解の差がある為、緊急時のスタッフ管理が激ムズ。平常時でも指示が伝わらない事が多いのに、緊急時ならさらに伝わらなさ倍増。病院では周りも看護師の為、1から10まで言わなくても連携が図れた。しかし、施設では介護職に指示を出さないといけない。これが、また…伝わらない。「何で？日本語分かる？」と問い詰めたくなるような解釈をする者もいる。医療用語を排除してもだ。伝える技術はガチで必須。

意外に給料は変わらなかった

さすがに病院勤務時よりは下がったが、それでも全国的には平均かな。

老健１年目の私の給料事情(夜勤がついてからの1年：入職3カ月目～)

• 年収：5,213,815円
• 平均月給：343,735円/月
• 賞与：1,089,000円/年
• 備考1：夜勤3～4回/月(11000円/回)　副主任手当あり。残業は10時間以下/年。
• 備考2：住宅手当、扶養手当なし。
• 備考3：基本給、役職手当、資格手当、夜勤手当、通勤手当、残業手当のみ。

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」による看護師の年収（平均値）

• 平均年収（男女計）:約488万9千円
• 平均月収（男女計）: 約34万8千円
• 年間賞与その他特別給与額（男女計）: 約79万9千円

年齢階級別の平均年収（男女計）

• 20～24歳: 約367万円
• 25～29歳: 約433万円
• 30～34歳: 約467万円
• 35～39歳: 約497万円
• 40～44歳: 約522万円
• 45～49歳: 約552万円
• 50～54歳: 約576万円
• 55～59歳: 約575万円
• 60～64歳: 約447万円
• 65～69歳: 約377万円
• 70歳以上: 約368万円

出展：厚生労働省「令和5年度賃金構造基本統計調査」