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業務=仕事ではない

看護師の日常

当施設でもスタッフ不足は深刻。人員増加は早急の課題である。看護師数は足りている。問題は介護職不足。介護老人保健施設なのにメインの介護職が足りない。

少子高齢化に伴い生産年齢人口も減少の今、スタッフ不足はどこの組織も抱える問題だろう。どこもかしこも減少している働き手を奪い合っている。組織は少ない働き手市場から優秀な人材を我先に奪い合う。転職サービスの会社も爆発的に増加。我々の時代の就職氷河期はどこ行ったのだろうか。今や看護学校ですら定員割れで入れる現状。学生数の減少から閉校する看護学校もある。背景として専門学校から大学志向になっているのもあるが。

のん
のん

どこもスタッフ不足は問題やな。うちも看護師が足りん。年々減っていく。働いている看護師の高齢化問題もあるし、今後も減り続けるわ。5年後が怖いな。

ヨシ
ヨシ

施設は病院ほど看護師はいらんからな。少人数やけど不足感はないな。病院より訪問看護の方が深刻やぞ。ギリギリの人数しかおらんから学生実習の受け入れを断る事業所も増えてるしな。

少子高齢化とはつまり年寄りが増えるという事=医療・介護を必要とする人が増えるという事。しかし、絶対数の減少から看護・介護職も減少。全体的に働き手が減少しているって事は、今以上に看護・介護職の占有率を増やさないといけない。さらに問題なのが現場の看護・介護職の高齢化。これは都会より地方の方が顕著だろう。当施設でも介護職の平均年齢は50歳ってところか。60過ぎても頑張ってくれているスタッフが多くいる。あと10年もすればどっちが介護されているかわからんな。老々介護は在宅だけでなく施設でも充分起こりえる。

のん
のん

で?わざわざ議題に挙げたって事は、こんな世間一般の話しじゃないやろ?俺も聞きたい事あったんやけど、実際現場の介護職ってどうなん?『施設は介護職の力が強いから看護と対立する』とか聞いた事あるけど。

ヨシ
ヨシ

俺も当然今の施設しか知らないけど、正直言うと微妙やな。対立というべきか…、う~ん…。もちろん普段は協力しながらやってるで。でも場合によっては…、あちらさんは対立しようとしてるんかな…。

のん
のん

すっきりせーへんな。はっきりしろって。介護施設っていうくらいやから介護職のレベルも当然高いやろ?

ヨシ
ヨシ

病院の看護補助者より技術は高いぞ。技術は。俺も参考にしながら移乗とかしてるし。でも、働く人間としての意識は低いな。ただ仕事をしているだけ、命令された事をこなしているだけ。要するに仕事というより業務をこなしているだけやな。だから対立の構図になっても素人すぎて戦う気が起きん。

よそ様の施設は知らないが当施設では介護職の仕事意識は低い。介護技術はしっかりしている。参考にもなるし教えてもらう事もある。しかし仕事となるとそうはいかない。明らかに勉強不足が見える。

例えばBaカテーテル留置中の利用者でカテーテルを引っ張ってしまう為、ズボンの中を通し足から出しているケースがあるとする。本来何も問題がなければ腹部側から出すのが望ましいが、利用者ごとに特性が違う為、最適解は異なる。当然である。しかし「この人は引っ張っちゃうから足からにしてね」と言うと、もれなく他のBa利用者も同じように足から出る事になる。「何でこの人、足側から出してるん?」と問うと、「看護師さんに『Baは足側から』って言われたんで」と答える。

感染対策もかねて入浴時は『脱衣所内に利用者は4人まで』と人数制限をかけている。コロナ感染症が5類になったとはいえ、年寄り施設での感染対策は変わらない。2類の時よりは全体的に緩和しているが、baseの部分は守っている。基本『密』にならないように業務を行っている。しかし、守れていたのは最初だけ。『脱衣所内に4人まで』→『浴室内はカウントしない』と解釈が変わっていき、当然機械的に回転できるわけもなく脱衣所内は利用者で溢れる。この結果は最悪につながった。どの利用者が同一空間に『誰と』『どれくらいの時間いたか』が把握できず、後手後手の追跡調査になり全体像が把握できた頃にはクラスター大爆発だった。

のん
のん

なるほど。仕事じゃなくて業務しかしてないってこういう事ね。『なぜそうしているのか』まで理解していないって事か。根拠が抜けているんやな。

ヨシ
ヨシ

問題の根底にあるのはスタッフ不足なんだろうけど、中々ケースバイケースが理解できないスタッフが多い。多分、普段の業務が忙しいから個別に考える時間がないんだろうな。しっかりと根拠まで理解していないから、自分に都合のいい解釈に変わってしまうしな。

看護師はとにかく根拠を叩きこまれる。その為、常に『なぜそうするのか』『なぜそうしないといけないのか』を考えながら動いている。最悪の場合、自分の判断で患者が死ぬ可能性もあるからだ。だから、どんなに忙しくても根拠に基づいて考える事が大切であると看護師は意識している。この辺が介護職との違いなんだろう(ちゃんと出来ている施設の方には申し訳ない)。

のん
のん

でも、やっぱり根底はスタッフ不足で余裕がない事なんやろ?もちろんそれが全てじゃないのは予想できるけど。学習機会が圧倒的に足りなさそうやな。

ヨシ
ヨシ

問題は確かにスタッフ不足ではある。しかし、1つの要因に過ぎないな。例えば間違いを指摘しても『看護師さんに言われたんで』とか『介護主任に言われたんで』と責任転嫁から始まる。こっちからすれば『理解が出来ているか』が重要で『誰に言われた』なんて二の次や。で、名前の挙がった人間にも一応確認すると「私、そんな事言ってない」ってなるわけよ。

のん
のん

同じ話をしてるのに解釈が違うパターンね。で、責任を押し付けあう構図に発展するわけね。責めている訳じゃないのにな。

ヨシ
ヨシ

そういう事。そうなると学習には行き着かん。自分を守る事に必死になるからな。かといって学習会を企画しても、面白い事に当事者たちはほとんど来ない。長々話したが要するに『看護と介護では問題に対する取り組み意識がずれている』んやな。だから構図的に対立になる。仕事vs業務ってな。アホみたいやろ?

のん
のん

なんか…。凄いもったいないな。あと一歩がメチャクチャ長そうやな。

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